様々な支援者が大切にしたい病気療養児支援のポイント 人との関係を築いており、それぞれの場所でまったく違った姿を見せることもあります。その子どもをよく知る保護者、学校の先生、医療者などが、それぞれの場での子どもたちが経験したことや、感情について共有することで、子どもの多様な側面を理解し、包括的かつ継続的なサポートが可能になることがあります。 が、我慢は見過ごされやすく、褒められることも少ない傾向にあります。医療的処置や運動制限、食事制限、容姿の変化などは、病気の子どもたちにとっての典型的な我慢ですが、友達と同じではない状況そのものが、友達関係が特に重要な時期においては大きな我慢となります。 病気の子どもたちは、学校、習い事、病院、家庭、ゲームやSNSの中など、多様な場で様々なここで注目すべきは、子どもたちの我慢です。一般的に、頑張りは賞賛されやすいものです我慢が溜まり過ぎると、心理的な落ち込みや、感情の爆発、治療管理が守られないなどの問題につながることがあります。一方で、ある場面で一息入れられると、必要な場面では我慢できたり、やる気のスイッチが入ったりなど好ましい行動が取られやすくなります。 大人が、「なぜこんな行動をとるのだろう?」とか「今まで頑張ってできたことが、なぜ急にできなくなったんだろう?」と感じる時、子どもは、そこに至るまでにたくさんの我慢を重ねている可能性があります。長期にわたる治療・管理の中で、我慢を余儀なくされることが多い状況下においても、子どもが主体的に活動し、没頭できる環境があることが大切です。子どもの「得意なこと」「夢中になっていること」「安心できること」などに加えて、「苦手なこと」や「嫌いなこと」「我慢していること」についても、支援者同士で情報を共有し、協力しながら、我慢が一休みできる時間や空間を作っていくことも重要です。(大阪教育大学/平賀 健太郎 准教授) 2023年10月に公益財団法人ベネッセこども基金と協働で全国調査した結果から、左図のように児童・生徒や保護者から病弱部のある特別支援学校や地域の支援団体に対して、様々な相談が寄せられていることが分かります。 このような悩みに対して、学校や支援団体のどちらか一方だけでは解決が難しい課題も、互いの強みを知り協働することによって、病気を抱える子どもたちやその家族の悩みに応えられるのではないかと思います。だからこそ、当団体では多機関・多職種連携が重要と考えています。 特に慢性疾病を抱える子どもたちは、日々の成長発達やライフステージにおいて、行政窓口や進学先が異なります。保護者の負担をできる限り少なくするためにも、医療や教育・行政・支援団体など地域の関係者がつながり、情報共有や連携できる体制づくりが求められています。 6 学校や支援団体に寄せられる児童・生徒や保護者からの相談内容
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