岡山県内の病気療養児支援で多職種が連携した実践事例集
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6 じて聞き取りながら調整しています。最後のホームクラスの友人たちと会話などのやり取りが行なわていたことで、集中して行事への参加が行なわれました。ひとりの生徒のために、たくさんの関係者を迎えることができました。 「あ、自分の席あった」「そりゃ、もちろんあるよ」というやり取りから、安堵した様子がとても印象的でした。使用したテレビ会議システムはZoomで、パソコンやモバイルWi-Fi、ビデオカメラ等の機材はポケットサポートから持参しました。学校側には、電源や撮影場所の確保を依頼しました。式典の中継ではビデオカメラからUSBキャプチャーデバイスを経由してパソコンに接続しました。体育館2階後方の指定された場所から、式全体を映して、クラスの人たちが証書を受け取るとき等はズームするなどの工夫を行いました。 教室に設置した機材はパソコンにWEBカメラとスピーカーフォンを接続して、ホームルーム中の教室内の様子を集音、病室の生徒の声も周囲に届くようにしました。担任の先生に生徒の顔が見えるようにパソコン画面は教卓に向けて設置し、入院中の病室からはiPadでその様子を見るという配置にすることで、オンラインでも対面と変わらない雰囲気づくりにしました。 卒業式の中継中は「ここが見たい」「会場全体で良い」などの要望を生徒から直接Zoomを通ルームについては、他の生徒さんたちが戻ってくる前に、教室内に機材を速やかに設置し、通信した状態で技術スタッフは別室で待機していました。 中継場所や、閉め切りの室内では通信状況が悪くなることもあったようですが、ホームルームでれたことも伺いました。病院側も「卒業式の時間は入室や処置を控えましょう」と申し送りがなされが協力してくれたからこそ、友人と一緒に卒業式学校や病院としても、前例のない初めての試みでしたが短期間で実現できたのは、人生で1度しかない卒業式に出席させてあげたいという共通の思いがあったからこそだと思います。 事前の通信テスト中にテレビ会議でつながった病室の生徒が教室を見た時に、担任の先生と話ができ人生の節目に大きな経験をした生徒さん。これから、自分の経験を役に立たせるため医療者を目指したいという夢を叶えて、今度は『人を支える側』になってくれることを心から願っています。 【生徒本人からの声】 僕は高校3年生の12月に、ある病気で入院することになりました。2月下旬に卒業式へ参加できないこともわかり、さらに大きなショックを受けました。ポケットサポートにリモート交流の時に相談してみました。そのときにリモートで中継ができるかもということを提案してもらいました。 諦めていた式に参加できるんだと感じた時、嬉しい気持ちと希望が湧いてきました。そして病院と学校とを繋いだ卒業式に参加することができました。リモートで繋いだ卒業式では、画面上でしたが、先生から実際の卒業証書も授与して頂きました。繋いでくださった関係者の皆さんには、とても感謝しています。今は、作業療法士になるため勉強を頑張っています。僕の様な体験をした人に勇気を与えられるよう、これからも夢に向かって進んでいきたいと思います。

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