岡山県内の病気療養児支援で多職種が連携した実践事例集
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12 保護者との話し合いの中では、同じように治療しながら就学する経験のあるスタッフが、傾聴や共感することでご安心いただき、就学予定の学校との打ち合わせ、保健所や教育委員会などとの情報共有の可否に関するご提案をさせていただきました。 保護者とメールでのやりとりを続け、「現在の病状(体調)について」「進学について不安な事」「4月以降の治療スケジュール」「学校、教育委員会、保健所への要望」などについてヒアリングを行い、関係者へ情報の共有を行う旨の許可をいただきました。 ポケットサポートがこれまで蓄積してきた復学調整会議のノウハウを活かしながら、中心となる就学前ソーシャルワーカーの方と、支援に関する会議に出席した方が良いと考えられる方々をピックアップし、学校、保健所、教育委員会へお声掛けいただくようにしていただきました。 日程調整が行なわれてケース会議の日程が決まったところで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、約2か月後に延期されましたが、関係者全員が顔を合わせて集まる形式で、お子さんの就学に関するケース会議が、開催されることとなりました。 今回の事例はポケットサポートが病弱児支援のNPOとして地域支援ネットワークを構築していたこと、過去の相談事例と重なっていたことで、地域の教育委員会や学校、保護者にご安心いただき、就学前のケース会議の提案から実施に至ったのではないかと考えています。この児童が笑顔で学校生活を送っている姿をこれからも見守っていきたいと思います。そして、ソーシャルワーカーや地域支援団体の皆様とも協力体制を構築しながら、ひとり一人の子どもたちに寄り添った支援を続けていきたいと思います。 ケース会議にはご両親とご本人、校長先生、担任教諭、学年主任、養護教諭、保健師、就学前ソーシャルワーカー、そしてポケットサポートのスタッフが参加しました。 事前に学校側から主治医へ学校生活に関する質問がなされていて、その回答として全身状態は良好で、リハビリが必要になるが基本的には通常の対応で問題がないことが共有されました。 その後、会議ではご両親から本人の病状説明と、日常のケアについて、活動上の留意点として、生活時間、運動制限、食事制限、服薬のタイミング、そして調子が悪くなったときにどんな様子になるか等が伝えられました。 学校として、調子が悪くなった時にすべき対応、その他、気を付けておいた方が良い事などが話されました。主治医からの事前質問の回答も併せた形で、話し合いは進んでいきました。 ポケットサポートからも就学に関する共有シートの情報提供や、オンライン授業についてのサポートができること、またその後も気になることがあればいつでも相談や学習や復学支援などが行なえることなどをお伝えしました。 年度明けには無事就学ができたこと、学校生活が送れていることがポケットサポートへも伝えられています。その後、このお子さん、ご家族からの連絡はありませんが、いつでもご相談できる関係性を継続するために、団体の交流イベントの案内などを送らせていただいています。

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